「便秘」は日常よく聞く症状ですが、一時的なものから慢性的なもの、また大きな病気が隠れている場合まで、様々なケースがあります。
便秘によく使われる大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は、約2000年前の「金匱要略(きんきようりゃく)」を出典としており、便秘は大昔から人類の悩みだったとうかがい知れます。
便秘とは
便秘の舞台となるのは消化管。
消化管は、口腔・食道・胃・小腸・大腸・肛門を含む、身体を貫く一本の管で、生命力を維持するために必要なものを飲食物から取り込み、不要物を排泄する役目があります。
便通には、腸管内を内容物が通過していくことが必要ですが、内容物が自分の力で動くわけではなく、腸管が動いて内容物を出口へと移動させます。
腸管の動きが悪くなると、内容物は出口へ移動されにくくなり、便秘になります。
腸管の動きが悪くなる原因としては、精神的なストレスや運動不足で身体全体の気が滞ること、また、冷たい飲食物や身体を冷やす性質をもった飲食物を長期間摂取することによって胃気(いき:飲食物を受け入れ、消化して運ぶエネルギー)が滞ることが考えられます。
便秘に使われる漢方薬
気を巡らせ、腸管の動きをよくするために、大柴胡湯(だいさいことう)や加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)等が使用されます。
また、加齢に伴う便秘で腸管の動きが悪い場合には大建中湯(だいけんちゅうとう)、乾燥したコロコロ便には麻子仁丸(ましにんがん)、潤腸湯(じゅんちょうとう)が使われます。
女性の便秘では、瘀血(おけつ:血の滞り)が原因となっていることもあり、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)等が用いられます。
大黄は、便秘によく使われる生薬ですが、妊娠中や授乳中は避けましょう。
便秘解消に役立つ生活習慣
便秘解消に役立つ生活習慣としては、気分を伸びやかに過ごしてストレスを溜めないこと、こまめに運動すること、そして十分睡眠をとることが大切です。
また、よく噛んで食べることも、便秘の解消に効果的です。
よく噛むことで、消化管の運動が活発になったり、食べ物が細かくなることで消化・吸収がスムーズになり、便秘の解消が期待できます◎
排便を我慢せずに過ごすことや、食物繊維を含む食事を摂ること、朝食をとることも心がけて下さい。
便秘は生活習慣や体質だけでなく、薬の副作用でおこることもあります。
お悩みの方は病院や薬局で、お気軽にご相談くださいね^ ^
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